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山小屋泊の準備で、ヘッドライトと並んで迷いやすいのがレインウェアです。
お店に行くと、ジャケットだけで1万円台から5万円台まで並んでいます。素材の名前もばらばらで、何を基準に選べばいいのか分かりにくいですよね。

「雨の日しか着ないのに、そんなに高いものが必要なの?」
じつは山小屋泊のレインウェアは、雨の日だけの服ではありません。そして選ぶときは、ジャケットとパンツを上下そろえた金額で比べるのが失敗しないコツです。
この記事では、10年同じレインウェアを使ってきた私が、山小屋泊で困らない選び方と、おすすめの6製品を比べて紹介します。
- レインウェアが雨の日以外にも活躍する場面
- 10年使ってわかった、上下で持つ良さと欠点
- 山小屋泊で失敗しない5つの選び方
- おすすめ6製品の価格・重さを上下の合計で比較
迷ったらこれ!山小屋泊向けのおすすめ早見
時間がない方のために、タイプ別に3つだけ先に挙げておきます。
- はじめての上下なら:モンベル ストームクルーザー
- 予算を抑えたいなら:ミズノ ベルグテックEX ストームセイバーVI
- 軽さと動きやすさなら:モンベル トレントフライヤー
6製品の違いは、比較表でひと目で確認できます。
山小屋泊のレインウェアは「雨の日だけの服」ではない
北アルプスの稜線は、夏でも朝晩はぐっと冷え込みます。標高が上がるほど気温は下がり、さえぎる木もないので風がまともに当たります。
そんなときに役立つのがレインウェアです。雨を防ぐ生地は風も通しにくいので、いちばん上に着る防寒着としても使えます。
私は、晴れていても早朝に小屋を出るときや、夕方遅くまで歩くときは、自分から先にレインウェアを着るようにしています。雨や風の強い日は、なおさらです。
山小屋泊では、レインウェアは「毎日着る服」だと考えて選んでください。
だからこそ、上だけでなくパンツも必要になります。ズボンが雨で濡れると、そこから体が冷えていくからです。
私が約10年使っている、ノースフェイスの上下セット


私が約10年前に買ったのは、ザ・ノース・フェイスの「レインテックス フライト」というゴアテックスの上下セットです。今は売られていない旧モデルです。
私が青、妻が緑の色違いで、それぞれ上下をそろえました。それ以前は、モンベルのレインウェアを使っていました。


子どもが生まれてからは山に行く回数が減りましたが、今も現役です。約10年たっても、破れや傷みはほとんどありません。
上下セットで良かったこと




いちばん便利だと感じているのは、ジャケットとパンツを1つにまとめて小さくできることです。袋ひとつに収まるので、ザックの中で迷子になりません。
上下をまとめてしまえるのは、思っていた以上に便利です。雨が降り出したときも、袋ひとつ出せばすぐに上下とも着られます。
正直に感じている欠点
一方で、重さと蒸れは正直に気になります。登りで汗をかくと、内側がじっとりしてくることがあります。
それでも、雨や風の強い日に体を冷やさずに歩けるのは、この1着があるからです。欠点を知ったうえで、手放せない道具になっています。
今はジャケットとパンツの別売りが主流
ただ、今回あらためて調べてみると、今の登山用レインウェアは、ジャケットとパンツを別々に買うものが主流のようです。この記事で紹介する6製品も、上下セットで売っているのはミズノの1製品だけでした。
別売りだと、ジャケットだけ買ってパンツを後回しにしがちです。パンツを買い忘れたまま山に行かないよう注意してください。



「これから買うなら、同じシリーズで上下そろえるのがおすすめです」
山小屋泊のレインウェアの選び方5つ
ここからは、選ぶときに見ておきたい点を順に紹介します。
1. 防水透湿素材かどうか
登山用のレインウェアは、雨を通さずに汗の湿気だけを外へ逃がす「防水透湿素材」でできています。ゴアテックスが有名ですが、モンベルやミレーのように各社が独自の素材も作っています。
製品のページでよく見る数字は、次の2つです。
- 耐水圧:どれだけ強い雨を通さないか。数字が大きいほど強い
- 透湿性:汗の湿気を外へ逃がす力。数字が大きいほど蒸れにくい
たとえばモンベルは、耐水圧20,000mm以上の素材だけをレインウェアに使っていると公式サイトで説明しています。ひとつの目安にしてください。
街用のビニールのカッパやポンチョは、湿気を逃がせません。登っているうちに内側が汗で濡れ、体が冷える原因になります。
2. 上下そろえた合計の値段で考える
ジャケットの値段だけを見て決めると、あとからパンツ代が足りなくなります。今回紹介した別売りの製品では、パンツはジャケットの6〜7割くらいの値段でした。
このあとの比較表では、上下そろえたときの合計金額も載せています。
3. 重さと、しまったときの大きさ
レインウェアは、晴れている時間の多くをザックの中で過ごします。軽くて小さくなるものほど、持ち歩くのが苦になりません。
ジャケットの重さは、軽いもので200g台前半、しっかりしたもので300g前後です。
4. 動きやすさ
岩場の多い北アルプスでは、腕を上げたり足を大きく上げたりする場面が続きます。生地が伸びる「ストレッチ素材」のモデルは、突っ張りにくく歩きやすいです。
5. 脇のファスナー(ベンチレーション)
脇の下にファスナーが付いたモデルは、開けるだけで中の湿気を逃がせます。蒸れが気になる人ほど、あると助かる機能です。
おすすめ6製品の比較表
6製品の価格と重さを、上下そろえた場合で比べました。◎は、その項目で6製品の中でいちばん条件のよいもの(いちばん安い・いちばん軽いなど)です。製品名を押すと、その製品の紹介に移動します。
| 項目 | ミズノ ベルグテックEX ストームセイバーVI | モンベル ストームクルーザー | モンベル トレントフライヤー | ミレー ティフォン ストレッチ | ファイントラック エバーブレスフォトン | ザ・ノース・フェイス クライムライト |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 上下の合計 | 19,800円◎ | 36,000円 | 41,500円 | 62,700円 | 71,258円 | 84,700円 |
| 売り方 | 上下セット◎ | 別売り | 別売り | 別売り | 別売り | 別売り |
| ジャケット | セットのみ | 22,000円 | 25,500円 | 36,300円 | 41,690円 | 50,600円 |
| パンツ | セットのみ | 14,000円 | 16,000円 | 26,400円 | 29,568円 | 34,100円 |
| 上下の重さ | 約550g(M) | 448g | 398g◎ | 516g | 535g | 約500g(L) |
| 素材 | ミズノ独自の 3層素材 | スーパー ドライテック (モンベル独自) | スーパー ドライテック (モンベル独自) | ミレー独自の 3層素材 | エバーブレス (ファイントラック独自) | ゴアテックス |
| 向いている人 | 予算を抑えて 上下そろえたい人 | はじめての 1着に | 軽さと動きやすさ 重視の人 | 蒸れが 苦手な人 | 長雨の中を 歩く人 | ゴアテックスに こだわる人 |
上下の合計は2万円弱から8万円台まで、大きく差があります。予算を抑えたいならミズノ、定番で選ぶならモンベルのストームクルーザーから見ていくと選びやすいです。
山小屋泊におすすめのレインウェア6選
上下そろえた合計の安い順に紹介します。価格と重さはメンズの値ですが、6製品すべてにウィメンズモデルがあります。
ミズノ ベルグテックEX ストームセイバーVI
ジャケットとパンツが上下セットで19,800円と、6製品の中でいちばん手頃なモデルです。上下がまとめて入る収納袋が付いていて、私が上下セットで感じてきた便利さをそのまま味わえます。
耐水圧は30,000mm以上と十分です。一方で、透湿性は約16,000g/㎡/24hと、ほかの製品より控えめな数字です。汗をかきやすい人は、前のファスナーを開けるなどして調整しながら使ってください。
重さは上下で約550g(Mサイズ)です。「まずは予算内で上下をそろえたい」という人に向いています。
モンベル ストームクルーザー
登山用レインウェアの定番として、名前を聞いたことがある人も多いモデルです。ジャケットは22,000円、254gです。
知っておきたいのは、今のモデルは素材がゴアテックスからモンベル独自の「スーパー ドライテック」に変わっていることです。「ストームクルーザー=ゴアテックス」のつもりで買うと、思っていたものと違うかもしれません。
同じ素材のパンツは「ドライテック レインパンツ」(14,000円)です。上下で36,000円と、価格と性能のバランスが取れています。
ウィメンズのジャケットをモンベル公式オンラインショップで見る
モンベル トレントフライヤー
ジャケット233g、パンツ165gで、上下合わせて398gと6製品の中で最も軽いモデルです。生地がよく伸びるストレッチ素材で、動きに合わせてついてきます。
パンツは「ドライテック ストレッチレインパンツ」(16,000円)が同じシリーズとして案内されています。上下で41,500円です。荷物を少しでも軽くしたい人に向いています。
ウィメンズのジャケットをモンベル公式オンラインショップで見る
ミレー ティフォン ストレッチ
以前は「ティフォン50000」の名前で知られていた、ミレーのロングセラーです。耐水圧30,000mm、透湿性50,000g/㎡/24hと、湿気を逃がす力の高さが特長です。
ジャケットは36,300円・300g、パンツは26,400円・216gです。裏地が肌触りのよいニットで、蒸れやベタつきが苦手な人に向いています。
ファイントラック エバーブレスフォトン
日本のメーカー、ファイントラックのレインウェアです。独自素材「エバーブレス」を使い、濡れても湿気を逃がす力が落ちにくいため、降り続く雨の中を長く歩く日に強いモデルです。
ジャケットは41,690円・300g、パンツは29,568円・235gです。生地が縦にも横にも伸び、しなやかな着心地です。
ザ・ノース・フェイス クライムライト
ゴアテックスの3層素材を使った、ザ・ノース・フェイスの登山用レインジャケットです。6製品の中で、ゴアテックスを使っているのはこのモデルだけです。
ジャケットは50,600円・約285g(Lサイズ)で、脇の下にベンチレーションが付いています。パンツの「クライムライトジップパンツ」は34,100円で、靴を履いたまま着脱できる作りです。
私が約10年使っているレインテックス フライトも、ザ・ノース・フェイスのゴアテックス製でした。今同じブランドで選ぶなら、このシリーズになります。
上下で8万円台と6製品の中ではいちばん高価です。そのぶん長く使う前提で、ゴアテックスにこだわりたい人に向いています。
蒸れと重さとのつきあい方
どんなに高いレインウェアでも、登りで汗をかけば多少は蒸れます。私も10年使って、ここは道具だけでは解決しないと感じています。
蒸れを減らすために、次の3つを意識してみてください。
- 前のファスナー:登りでは少し開けて歩く
- 脇のファスナー:付いていれば開けて湿気を逃がす
- 中に着る服:汗を吸っても乾きやすい化繊かウール
重さについては、上下を1つの袋にまとめると、ザックの中で場所を取りません。別売りで買った場合も、少し大きめの袋を1つ用意して上下をまとめておくと、すぐに取り出せて便利です。
山小屋で濡れたレインウェアはどうする?
雨の中を歩いて小屋に着いたら、濡れたレインウェアを乾かしたいところです。北アルプスの山小屋には、濡れた服や靴を乾かせる「乾燥室」があるところも多くあります。
このブログで紹介している小屋では、常念小屋、双六小屋、雲ノ平山荘、白馬山荘、西穂山荘に乾燥室があります。ただし、乾燥室は宿泊者向けの設備で、テント泊では使えない小屋もあります。
乾燥室がない小屋もあるので、翌朝も少し湿ったまま着る覚悟はしておきましょう。レインウェアは部屋の中で広げず、小屋の案内に従って置き場所を決めてください。
10年使うためのお手入れ
レインウェアの表面は、水をはじく加工がされています。この加工が弱まると、表の生地が水を吸ってしまい、湿気を逃がす力も落ちてしまいます。
長く使うためのお手入れは、次の3ステップです。
- 洗う:専用の洗剤か中性洗剤で、汗や皮脂を落とす
- 撥水剤:水をはじかなくなったら、スプレーをかけ直す
- 熱を加える:洗濯表示を見て、低温の乾燥機などで仕上げる
表面に水をかけて、水玉になって転がればまだ大丈夫です。生地にしみ込むようになったら、お手入れのサインです。洗い方は製品ごとに違うので、必ず洗濯表示を確かめてください。
買う前に一度試したい人はレンタルも
上下そろえると数万円かかるので、「まず1回行ってみてから決めたい」という人もいると思います。



「続けるか分からないのに、いきなり数万円は勇気がいる…」
そんなときは、登山用品のレンタルを使う方法もあります。やまどうぐレンタル屋では、レインウェアの上下も借りられます。実際に山で着てみて、重さや着心地を確かめてから買うと失敗がありません。
レインウェアの上下も借りられます
山小屋泊のレインウェアでよくある質問
ジャケットだけ買って、パンツはあとでもいいですか?
おすすめしません。山小屋泊では朝晩の冷え込みや急な雨があり、ズボンが濡れると体が冷えます。予算が限られるなら、高いジャケットより、手頃なモデルで上下そろえるほうが安心です。
ポンチョや街用のカッパでも大丈夫ですか?
北アルプスの稜線では向きません。風であおられやすく、湿気を逃がせないので、汗で内側から濡れてしまいます。
サイズはどう選べばいいですか?
レインウェアは、フリースなどの上から着ることが多い服です。お店で試着するときは、山で中に着る服を着た状態で、腕を上げたり、しゃがんだりしてみてください。通販で買う場合は、各社のサイズ表で胸囲や股下を確かめると安心です。
女性用はありますか?
紹介した6製品には、すべて女性の体形に合わせたウィメンズモデルがあります。サイズや値段は男性用と違うことがあるので、各社の公式サイトで確かめてください。私の妻も、女性用の上下を約10年使っています。
【まとめ】山小屋泊のレインウェアは上下の合計で選ぶ
最後に、選び方のポイントを振り返ります。
- 雨の日だけでなく、朝晩の防寒着にもなる
- ジャケットとパンツは上下そろえて買う
- 値段は上下の合計で比べる
迷ったら、モンベルのストームクルーザーとドライテック レインパンツの組み合わせから選ぶと、大きな失敗は少ないはずです。
よいレインウェアは、手入れをすれば10年使えます。長く付き合える上下を選んでください。
レインウェアが決まったら、ほかの持ち物もそろえておきましょう。
北アルプスに泊まってわかった、本当に必要なものだけ


