
登山って、結局いくらかかるのか?これから山を始めたい人ほど、ここでつまずきます。道具をそろえるお金、山小屋に泊まるお金、現地までの交通費。考え出すと、一歩を踏み出す前に気持ちがしぼんでしまうこともありますよね。
私自身も、始めたころは同じ不安を抱えていました。いまは年に10回ほど北アルプスを中心に登っています。そんな私の家計から、登山にかかるお金を包み隠さずお見せします。
お金の正体さえ見えれば、登山はぐっと身近になります。
結論:我が家の登山費用は年間およそ20万円
先に答えを出します。年10回前後登る我が家の場合、登山にかかるお金は1年で約20万円。月にならすと1.7万円ほどです。内訳はこんな感じになっています。
| 項目 | 年間のおおよその費用 |
|---|---|
| 交通費(車・バスなど) | 約6〜7万円 |
| 宿泊費(山小屋・テント場) | 約8万円 |
| 装備の新調・買い替え | 約4万円 |
| 山岳保険・その他 | 約1.5万円 |
| 合計 | 約20.5万円 |
「高い」と感じましたか。それとも「意外と安い」でしょうか。判断の材料として、ほかの趣味の年間費用とざっくり並べてみます。
| 趣味 | 年間費用の目安 |
|---|---|
| 登山(我が家) | 約20万円 |
| ゴルフ | 約20〜40万円 |
| スキー・スノーボード | 約15〜30万円 |
| ジム通い | 約10〜15万円 |
あくまで目安ですが、登山は飛び抜けて高い趣味ではないと感じています。しかも一度そろえた装備は何年も使えるので、続けるほど1回あたりの単価は下がっていきます。登山費用は、中身を分解すればちゃんとコントロールできます。
「1回いくら?」上高地を例にしたリアルな交通費
年間の数字だとピンと来ないので、1回分に分けてみます。私は長野県在住で、移動はほぼ車。たとえば上高地へ向かうと、こんな費用感です。
| 項目 | 1回あたり |
|---|---|
| ガソリン代(往復) | 約3,000円 |
| 高速代〜沢渡〜上高地のバス代など | 約4,000円 |
| 交通費の合計 | 約7,000円 |
地元が近いおかげで、交通費はかなり抑えられています。これが首都圏や関西からだと、高速代と長距離のガソリン代で1回1万円を超えることも珍しくありません。「どこに住んで、どこへ登るか」で交通費は大きく変わります。
忘れがちな「初期費用」は年間費用と別物
ここまでは毎年かかる「年間費用」の話でした。ところが始める前にいちばん身構えるのは、最初に道具をそろえる「初期費用」のほうですよね。この2つは分けて考えるのが大切です。一度そろえれば、毎年まるごと買い直すわけではありません。
初心者がひと通りそろえる場合の、一般的な目安はこのくらいです。
| 装備 | 価格の目安 |
|---|---|
| 登山靴 | 25,000〜50,000円 |
| ザック(30〜40L) | 20,000〜40,000円 |
| レインウェア(上下) | 20,000〜40,000円 |
| ウェア類(一式) | 20,000〜40,000円 |
| 小物(ライト・地図・水筒など) | 10,000〜20,000円 |
| 合計の目安 | 約10〜18万円 |
まとめて見ると腰が引けるかもしれません。でも全部を一度にそろえる必要はないんです。全部揃えられれば問題ないですが、予算を超えてしまうのであれば、最初はレンタルや手持ちの服で代用し、登る頻度が増えてから少しずつ自分の道具に替えていく。初期費用は「一括」ではなく「段階的に」でもよいです。
登山費用が読みにくい、3つの理由
「いくらかかるか分からない」と感じるのには、はっきりした理由があります。私が長年でつかんだ、お金が読みにくくなるポイントは3つ。
① 交通費は行き先しだいで上下する
同じ北アルプスでも、近場の日帰りと、遠方への遠征では桁が変わります。先ほどの上高地は約7,000円でしたが、遠征になれば前泊代や駐車場代も乗ってきます。行き先を決める時点で、ざっくりの交通費を見積もる癖をつけると安心です。
② 山小屋の料金は年々上がっている
ここ数年の物価高で、山小屋の宿泊料も上昇が続いています。2026年シーズンの北アルプスでは、1泊2食で15,000〜17,000円が標準ラインになりました。代表的な小屋を並べると、こうなります。
| 山小屋 | 1泊2食(2026年) |
|---|---|
| 燕山荘 | 約15,000円 |
| 蝶ヶ岳ヒュッテ | 約16,000円 |
| 雲ノ平山荘 | 約17,000円 |
テント場なら1人2,000円前後で済むので、宿泊スタイルしだいで費用は大きく動きます。山小屋の選び方は山小屋の選び方ガイドでも詳しく書いています。実際の宿泊の雰囲気は燕山荘の宿泊レポもどうぞ。泊まり方を選べば、宿泊費は自分で調整できます。
③ 装備は「更新」でまとまった出費になる
毎年こまごまと買うわけではありません。ところが靴やザック、レインウェアといった主力装備の更新が重なると、その年だけ出費が跳ね上がります。たとえば登山靴で約4万円、ザックで約3万円、レインウェアで約3万円。どれかひとつ替えるだけでも、数万円はあっという間です。我が家の装備費は年3〜7万円で、靴を新調した年はこれだけで7万円近くいったことも。装備費は「毎年同じ」ではなく「波がある」と考えると読み違えません。
登山費用を抑える、5つのコツ
お金の正体が見えたら、次は抑え方です。私が実践している、無理のない節約のコツをまとめました。
| コツ | 効果 |
|---|---|
| 日帰りとテント泊を組み合わせる | 宿泊費を圧縮できる |
| 良い装備を長く大切に使う | 買い替えの頻度が下がる |
| 仲間との相乗り・公共交通を活用 | 交通費を分散できる |
| 年間契約の山岳保険を選ぶ | 1回ごとより割安になる |
| 平日やオフピークに登る | 混雑回避と費用の安定 |
とくに効くのが、2つめの「良い装備を長く使う」です。安いものを買い替え続けるより、足に合う一足を直して履き続けるほうが、結果として安くつきます。私がゴローのオーダーメイド登山靴を選んだのも、まさにこの考え方からでした。
山岳保険も忘れずに。モンベルの野外活動保険なら年4,000円ほど、JRO(日本山岳救助機構)なら年2,400円ほどで備えられます。安全への数千円は、いちばん削ってはいけないお金です。
今日からできる、お金の見える化
難しい家計簿は要りません。まずは1回の山行ごとに、交通費・宿泊費・その他をスマホのメモに残すだけ。これを数回続けると、自分の「1回あたりの平均額」が見えてきます。あとは年間の登山回数を掛けるだけで、来年の予算が立ちます。
これから道具をそろえる方は、最初の予算配分も大切です。何を優先して買うべきかは、初心者の登山装備リストを参考にしてみてください。記録をつけた人から、お金の不安は消えていきます。
おもしろいもので、この「お金を見える化する習慣」は、登山だけの話で終わりません。我が家では同じやり方を家計や投資にも広げてみました。何にいくら使い、何を残すのか。趣味のお金と向き合う作業は、暮らし全体のお金とも地続きなんです。山で身につけた段取り力は、ふもとの生活でもちゃんと役に立ちます。
まとめ:お金の不安より、登る楽しさを

我が家の登山費用は、年間およそ20万円。決して安くはありませんが、中身を分解すれば、自分でコントロールできる範囲に収まります。交通費は行き先で、宿泊費は泊まり方で、装備費は更新の計画しだい。見えないから怖いだけで、見えてしまえば、ただの予算です。
お金の心配で山をあきらめるのは、もったいない。まずは近場の日帰りから、小さく始めてみませんか。かけたお金以上の景色が、稜線の上で待っています。
