
後立山連峰の名峰・五竜岳の直下に建つ五竜山荘(ごりゅうさんそう)。遠見尾根を登りつめた稜線上にあり、唐松岳との縦走の拠点としても人気です。この記事では、遠見尾根からのメインルートと、唐松岳〜五竜の縦走(難所・牛首を含む)の両方をしっかり取り上げ、五竜山荘を起点にした山行プランを徹底比較します。
五竜山荘を軸にした登り方を、この1記事で整理します。
五竜山荘ってどんな山小屋?
五竜山荘は、標高約2,490mの五竜岳と白岳(しろだけ)の鞍部に建つ山小屋です。日本百名山・五竜岳への登山拠点として最適な位置にあり、遠見尾根・八方尾根からの登山に加え、北は白馬岳方面、南は鹿島槍・扇沢方面への縦走の起点にもなっています。日本海まで見渡せる絶景のパノラマが自慢です。
五竜山荘を使う主なルート|ざっくり比較
まずは全体像から。五竜山荘を起点・経由する主なルートを、内容・所要時間・難易度・向いている人で比較します。
| ルート | 内容 | 所要の目安 | 難易度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 遠見尾根ルート(メイン) | テレキャビン+遠見尾根 | 登り 約4.5〜5時間 | ★★★(中級) | はじめての五竜岳・五竜山荘泊 |
| 五竜岳ピストン | 五竜山荘〜五竜岳山頂 | 往復 約2時間 | ★★★(中級) | 百名山・五竜岳に登りたい人 |
| 唐松岳〜五竜縦走 | 牛首を越える稜線縦走 | 約2時間40分(小屋間) | ★★★★(上級) | 後立山の縦走に挑みたい人 |
| 八方尾根ルート | 八方尾根〜唐松経由 | 縦走 約16.8km | ★★★★(上級) | 人気の八方から縦走したい人 |
※コースタイムは標準的な目安です。天候・残雪・個人の体力で大きく変わります。唐松岳〜五竜の縦走は岩場の難所(牛首)を含む上級ルートです。
【王道】遠見尾根ルート(テレキャビン〜五竜山荘)
五竜山荘へ登る人の多くが選ぶのが、遠見尾根(とおみおね)ルートです。「エイブル白馬五竜」のテレキャビンでアルプス平(標高約1,500m)まで一気に上がれるため、標高差を大きく稼げるのが利点。ただし、その名の通り“遠く見える”長い尾根で、小遠見・中遠見・大遠見・西遠見とアップダウンを繰り返しながら進みます。白岳手前には急登や鎖場もあり、登りごたえのあるルートです。
コースタイムの目安
| 区間 | 区間タイム | 累計 |
|---|---|---|
| アルプス平(テレキャビン終点)〜 小遠見山 | 約70分 | 1:10 |
| 小遠見山 〜 大遠見山 | 約65分 | 2:15 |
| 大遠見山 〜 西遠見山 | 約40分 | 2:55 |
| 西遠見山 〜 白岳 | 約80分 | 4:15 |
| 白岳 〜 五竜山荘 | 約15分 | 約4:30 |
標準コースタイムは約4.5〜5時間。テレキャビンの始発は8:30頃からなので、当日入りの場合は行動時間の計画に注意しましょう。テレキャビンは往復2,000円ほどで、運行時間は季節によって変わります。出発前に最新の運行情報を確認してください。
【百名山へ】五竜岳ピストン
五竜山荘に泊まったら、ぜひ登りたいのが日本百名山の五竜岳(2,814m)です。小屋から山頂までは約1時間。後半は岩場と鎖場が連続する本格的な登りで、高度感もあります。山頂からは鹿島槍ヶ岳や立山・剱岳まで見渡す大展望が広がります。
- 五竜山荘 → 五竜岳山頂:約60分
- 五竜岳山頂 → 五竜山荘:約60分
※山頂直下は鎖場の連続です。早朝は岩が濡れて滑りやすいこともあるので、三点支持を徹底し、無理のない範囲で行動しましょう。
【縦走の主役】唐松岳〜五竜ルート(牛首の難所)
五竜山荘を語るうえで外せないのが、唐松岳との縦走です。五竜山荘と唐松岳頂上山荘を結ぶ稜線には、後立山屈指の難所「牛首(うしくび)」が待ち構えます。切り立った岩場に鎖が連続する区間で、慎重な行動が求められますが、その分、歩き通したときの達成感と展望は格別です。
| 区間 | 区間タイム |
|---|---|
| 五竜山荘 〜 白岳 | 約15分 |
| 白岳 〜 大黒岳 | 約60分 |
| 大黒岳 〜 牛首(岩場・鎖場) | 約60分 |
| 牛首 〜 唐松岳頂上山荘 | 約25分 |
五竜山荘から唐松岳頂上山荘までは約2時間40分。牛首は転落・滑落事故も起きている難所です。悪天時・強風時の通過は避け、ヘルメットの着用を強くおすすめします。不安がある場合は、五竜岳ピストンや八方尾根からの往復に切り替える判断も大切です。
縦走プランの組み方
- 遠見尾根→唐松→八方(1泊2日):遠見尾根から五竜山荘へ。2日目に牛首を越えて唐松岳へ登り、八方尾根へ下山。
- 八方→唐松→五竜→遠見(逆回り):人気の八方尾根から入り、唐松岳・牛首を越えて五竜山荘へ。歩く向きで難所の印象も変わります。
- キレットへ挑む(上級):五竜から南へ、八峰キレットを越えて鹿島槍ヶ岳・扇沢へ。3大キレットを含む最上級の縦走です。
縦走の相方となる唐松岳側の詳しい情報は、こちらの記事も参考にしてください。
五竜山荘を目指す前に知っておきたいこと
- 完全予約制です。五竜山荘はWEB予約推奨。予約なしの宿泊は追加料金がかかります。
- テレキャビンの時間を確認。遠見尾根は始発時刻と運行期間に行動計画が左右されます。
- 牛首は上級者向け。唐松岳縦走は鎖場の難所あり。天候とスキルを見極めて。
- 営業期間は2シーズン制。2026年は残雪期(4月下旬〜5月上旬)と夏季(6月下旬〜10月中旬)に分かれます。
料金・食事・予約方法・施設・テント場など、五竜山荘に泊まるときの具体的な情報は、宿泊レポ記事にまとめています。あわせてどうぞ。
まとめ|五竜山荘は後立山縦走の好拠点

はじめて五竜山荘を目指すなら、テレキャビンを活用できる遠見尾根ルートが王道です。小屋に泊まれば、岩稜の五竜岳に登頂でき、さらに牛首を越えて唐松岳への縦走へとステップアップできます。唐松岳とセットで歩けば、後立山連峰の岩稜と大展望を二日かけて存分に味わえます。難所の見極めだけは慎重に、あなたの体力と日程に合ったプランで五竜山荘を訪ねてみてください。
