
登山届って出した方がいいって聞くけど、何をどう書けばいいの?どこに出すの?と、最初の一歩で止まってしまう初心者の方は多いです。じつは登山届は、ベテランほど「絶対に省略しないもの」として習慣化している、登山の基本中の基本です。
この記事では、登山届の書き方・出し方を初心者向けに解説します。必要な項目・記入例・紙とアプリの提出方法までまとめたので、読み終えたあとは迷わず1枚目の登山届を出せるようになります。
そもそも登山届とは?なぜ提出するのか
登山届(登山計画書)は、「いつ・誰が・どこの山に・どのルートで登り、いつ下山するか」を事前に記録・提出する書類です。万が一、予定時刻になっても下山連絡がなかった場合に、警察や山岳救助隊が捜索を始める「最初の手がかり」になります。
提出する目的は大きく3つです。
- 遭難時に救助・捜索を早く始めてもらうため
- 家族や仲間に行き先を共有して安否を確認できるようにするため
- 自分の計画を客観的にチェックして、無理がないか確認するため
とくに3つ目は意外と知られていない効用で、書く作業そのものが、計画の穴を見つけるレビューになります。「ヘッドランプ持っていかないと暗くなる」「下山予定が遅すぎる」と気づくのは、書き出した瞬間が多いものです。
登山届を出さないとどうなる?(現実のリスク)
登山届は多くの山域で「努力義務」になっていて、出さなくても直ちに罰則はありません(一部、長野県や群馬県の特定登山道では条例で義務化&罰金あり)。ただし、出さないことで遭難時の捜索開始が半日〜1日遅れるのが大きな現実的リスクです。
- どこの山に向かったか分からず、捜索範囲が広大になる
- 家族が状況を把握できず、警察への通報が遅れる
- 悪天候時、低体温症や凍傷の進行を許してしまう
「日帰りだから大丈夫」「整備された低山だから不要」と省略するのは、初心者にありがちな失敗パターン。シリーズ2本目「初心者が避けるべき失敗あるある」でも触れているので、合わせて読んでみてください。
登山届に書く8つの基本項目
書式は山域・自治体・アプリで多少変わりますが、必ず聞かれる項目はほぼ共通です。
①氏名・年齢・住所・電話番号
本人特定のための基本情報。携帯番号は必ず記入し、山中で電波が入る場合の連絡手段にもなります。
②緊急連絡先(家族など)
遭難時に最初に連絡が行く相手。配偶者・親・親しい友人など、当日確実に電話に出られる人を1〜2名書きます。事前に「この日に山へ行くから」と一言伝えておくと、捜索の判断が早まります。
③登る山と入山日・下山予定日
「○○山(△△県)」と山名と都道府県、入山日・下山予定日(時刻まで)を書きます。日帰りなら「下山予定:同日17:00」のように具体的に。
④登山ルート(コース名・通過予定地点)
「△△登山口 → ○合目避難小屋 → ××山頂 → 同ルート下山」のように、通過する主要ポイントを時系列で書きます。これが捜索範囲を絞り込む最重要情報です。
⑤エスケープルート(撤退ルート)
悪天候や体調不良時に、本来のルートとは別に下山できる道のこと。「○合目から△△方面へ下山」と書いておくと、想定外の事態に対応できます。低山日帰りなら「ピストン(往復)で同じ道を戻る」でもOKです。
⑥同行者の情報
同行者全員の氏名・年齢・連絡先・緊急連絡先を記載します。グループ登山でリーダーが代表で書くケースが多いですが、漏れがないよう注意。
⑦装備(食料・水・ビバーク用品)
食料の日数分・水の量・テントやツェルト(簡易シェルター)の有無・ヘッドランプ・救急セットなど、自分が持って行く装備をチェックボックス形式で書きます。「持っているか」を見直すきっかけにもなります。
⑧過去の登山経験
「登山歴○年」「同程度の山に△回」など、ざっくりで構いません。捜索する側が「初心者か経験者か」で動き方を変える参考になります。
記入例|低山日帰り登山の見本
具体的なイメージをつかんでもらうため、低山日帰り登山の記入例を載せておきます。
- 氏名:山田 太郎(45歳)/住所:東京都○○区/携帯:090-XXXX-XXXX
- 緊急連絡先:山田 花子(妻)090-XXXX-XXXX
- 山名:高尾山(東京都)
- 入山日時:2026年5月10日(日)8:30/下山予定:同日15:30
- ルート:○○コース → 山頂 → 1号路で下山
- エスケープ:体調不良時は山頂からケーブルカー利用で下山
- 同行者:なし(単独)
- 装備:水1.5L/行動食/レインウェア/ヘッドランプ/救急セット
- 登山歴:低山日帰り3回
このくらい具体的に書ければ、十分な登山届になります。
提出方法は4つ|今ならアプリがおすすめ

登山届の提出方法はおおまかに4つあります。
①登山口の登山ポストに投函(紙)
多くの登山口にある木製ポスト(郵便受けのようなもの)に、紙の登山届を投函する伝統的な方法。書式は登山口に置いてあることが多いですが、ポストが定期的に回収されない山域もあるため、これだけだと不安です。
②管轄警察署のサイトから電子申請
各都道府県の県警サイトに登山届の電子申請フォームが用意されています。「○○県警 登山届」で検索すれば見つかります。確実性は高いですが、入力項目が多めでやや面倒です。
③コンパス(オンライン)で提出
日本山岳ガイド協会が運営する「コンパス」は、無料で使える登山届のオンラインサービス。一度登録しておけば、ルートや装備を毎回入力する手間が省けます。提出先の警察にも連動して送信されるので便利です。
④YAMAP / ヤマレコのアプリから提出
登山GPSアプリの「YAMAP」「ヤマレコ」からも登山届の提出が可能。普段使いのアプリでルート計画→そのまま提出ができるので、初心者にもっともおすすめです。
「コンパス」での登山届提出手順
もっとも汎用的なオンラインサービス、コンパスでの登山届提出手順は次の通りです。
- 「コンパス〜山と自然ネットワーク〜」のサイトに無料会員登録(メール登録のみ)
- マイページから「登山計画書を作成」をクリック
- 登る山・日付・ルート・メンバー・装備を順に入力
- 「提出」を押すと、対応する都道府県警察に自動送信
- 家族やパートナーにメールでリンクを共有しておく
所要時間は10〜15分。一度入力すれば、過去計画をコピーできるので、2回目以降は数分で出せます。
「YAMAP」での登山届提出手順
登山GPSアプリ「YAMAP」での提出手順は次の通りです。
- YAMAPアプリで「のぼる山」を選択
- 地図上にコースを設定(ルート検索機能あり)
- 「登山計画」画面で日時・メンバー・装備を入力
- 「登山届を提出」をタップ → 対応都道府県警察へ送信
- 同時に「みまもり機能」で家族と現在地を共有
地図上でルートを引きながら計画できるので、「どこを通るか」のイメージが湧きやすいのが魅力。ルート計画+登山届+下山連絡が1アプリで完結します。
提出後の注意点|下山連絡を忘れずに
登山届を提出したら、必ずセットで覚えておきたいのが「下山連絡」です。下山後に連絡が無いと、家族や警察が遭難を疑って動き始めてしまいます。
- 下山したら、まず家族・緊急連絡先にLINEや電話で「下山完了」を伝える
- YAMAPやコンパスを使った場合、アプリの「下山報告」も忘れず操作
- 万一の予定変更時は、可能な限り早く家族に再連絡
「下山連絡をしないまま温泉に直行」は絶対にNGです。無事下山したことが確認できて、初めて登山届のサイクルが完了します。
よくある質問
初心者から多い質問をまとめました。
- Q. 登山届は法律で義務ですか? A. 一部山域(長野・群馬の特定ルートなど)で条例による義務がありますが、多くは努力義務です。ただし安全のため必ず提出を
- Q. 単独登山でも必要ですか? A. 単独こそ必要です。何かあったときに気づいてくれる人がゼロになるため
- Q. 紙とアプリ、両方出すべき? A. アプリだけでOK。心配なら登山口のポストにも投函でダブル安心
- Q. 計画変更はどうする? A. 出発前なら再提出、登山中ならアプリで予定変更を更新
まとめ|登山届は「面倒な書類」ではなく「自分を守る装備」

登山届の書き方・出し方を整理してきました。要点を最後にまとめます。
- 登山届は「いつ・誰が・どこに登り・いつ下山するか」を事前共有する書類
- 出さないと遭難時の捜索開始が大幅に遅れる
- 必須項目は8つ。記入例を真似すれば初心者でも書ける
- 提出方法は紙・電子申請・コンパス・YAMAPの4種類。アプリがいちばん楽
- 提出後は「下山連絡」までがワンセット
登山届は面倒な書類ではなく、ヘッドランプやレインウェアと同じ「自分を守る装備」です。「登山に必要なもの完全リスト」、「登山とハイキングの違い」もあわせて読み、安全に山歩きを楽しんでください。
